
オウンドメディアのKPIを何にすればいいのか分かりません。PVや記事数を追っていますが、これで合っているのか不安です。

PVや記事数だけでは判断を誤ることがあります。自社の実測では、文字数や見出し数を増やしてもクリックとの相関はほぼゼロでした。追うべき指標と、追っても意味がなかった指標を分けて見ていきましょう。
オウンドメディアのKPIを調べると、PV・UU・CV・CVRといった指標の一覧と、フェーズ別の設定例が並びます。これらは間違いではありませんが、実際に指標を追ってみると、動かしても成果につながらないものが混ざっているのが実情です。
この記事では、よく紹介される指標一覧に加えて、当社が自社メディアの実測データから確認した「追っても意味がなかった指標」を具体的に示します。
- オウンドメディアのKPIは認知期・検討期・獲得期のフェーズごとに異なる指標を設定します。
- 自社142本の実測で、文字数・見出し数とクリック数の相関はほぼゼロでした。
- リライト65本と未リライト1,933本の比較では、「本数」よりも記事単位の質的な差が結果を左右しました。
- KPIツリーはKGIから逆算して3ステップで組み立てます。
- 指標が動かないときは、まず構造的な遮断がないかを確認してから施策を見直します。

株式会社オークスでは実際のWebコンサルタントである、柏倉元太(@genta_oaks)が記事を監修。
月間数十万PVのメディアを複数運営しながら、現在はSEOからSNS、YouTubeまで様々な分野のマーケティング企業を運営。
オウンドメディアのKPIとは
オウンドメディアのKPI(重要業績評価指標)とは、メディア運営の目標達成度を測るための中間指標です。最終目標であるKGIに向けて、日々の運営で確認する数値がKPIにあたります。KPIを設定せずに運営すると、PVや記事数といった分かりやすい数値だけが独り歩きし、実際に成果につながっているかどうかを判断できないまま施策を続けることになりがちです。
KGIとの違い
KGI(重要目標達成指標)は「問い合わせ数を月間30件にする」「売上を月間300万円にする」といった最終ゴールです。KPIはそのゴールに至るまでの過程を分解した指標で、「セッション数」「記事経由のリード数」「フォーム到達率」のように、KGIより手前で動く数値を指します。KGIだけを追っていると、達成できなかった原因を特定できません。KPIを設定することで、どの工程で目標未達に陥っているかを切り分けられます。たとえば問い合わせ数が目標に届かない場合でも、セッション数自体は伸びているのか、セッションはあるのにフォーム到達率が低いのかで、打つべき施策はまったく変わります。
オウンドメディアで設定すべきKPI一覧

読者がメディアに接触してから成果に至るまでのフェーズごとに、確認すべき指標は異なるのが基本です。
フェーズ別の指標(認知期・検討期・獲得期)
| フェーズ | 主な指標 | 確認する目的 |
|---|---|---|
| 認知期 | セッション数・表示回数・新規流入キーワード数 | そもそも読者に見つけてもらえているか |
| 検討期 | 回遊率・平均滞在時間・内部リンククリック率 | 読んだ後に他の情報へ興味を持たれているか |
| 獲得期 | フォーム到達率・CVR・問い合わせ数 | 成果につながる行動を起こしているか |
立ち上げ直後のメディアで獲得期の指標ばかり追うと、母数が少なく数値が安定しません。メディアの成熟度に応じて、重視するフェーズを移していくことをおすすめします。
指標を選ぶときの注意点
フェーズごとの指標一覧はあくまで候補です。すべてを一律に追う必要はなく、自社のKGIに近い指標から優先して確認することが重要です。たとえば問い合わせ獲得が目的のメディアであれば、認知期の指標を細かく追うより、獲得期のフォーム到達率やCVRの推移を優先的に確認したほうが、KGIとのつながりが見えやすくなります。指標の数を増やしすぎると、どれが本質的な問題かの判断が難しくなる点にも注意してください。
KPIとして追っても意味がなかった指標(自社実測)
ここからが本題です。他の記事ではあまり出てこない、当社の実測データを紹介します。
文字数・見出し数はクリックとほぼ無相関(記事23実測)
「記事の文字数を増やす」「見出しの数を増やす」は、オウンドメディアの改善策としてよく語られます。当社は自社メディア142本のデータで、構造要素とクリック数の相関係数を検証しました。
| 構造要素 | クリック数との相関係数 |
|---|---|
| 文字数 | -0.015 |
| h2の数 | -0.044 |
| h3の数 | +0.015 |
| 表の数 | -0.012 |
| 画像の数 | -0.110 |
全項目がゼロ近傍でした。これらの構造指標を社内のKPIに含めても、改善の判断材料にはなりません。詳しい集計方法は別記事で公開しています。

公開本数・リライト本数だけでは効果を測れない(記事21実測)
「月間の公開記事数」「リライト本数」も、運用状況を示すKPIとしてよく設定されます。当社はリライトした65本と、手を付けていない1,933本を比較しました。
結果は、リライト群の悪化率69%に対して未リライト群は86%でした。「本数」という同じ単位のKPIの裏側で、記事単位の質的な差が結果を分けていたことになります。本数だけを追うと、質の低いリライトを大量にこなしても数値上は目標達成に見えてしまう点に注意してください。

KPIツリーの作り方

個別の指標を並べる前に、KGIから逆算してツリー構造に整理すると、指標同士の関係が把握しやすくなります。
KGIから逆算する3ステップ
- KGI(例:問い合わせ数月間30件)を決める
- KGIに至る過程を分解する(流入→回遊→フォーム到達→問い合わせ)
- 各過程に数値目標(KPI)を割り振る
この分解を先に済ませておくと、指標が未達成のときに、どの過程でつまずいているかを機械的に特定しやすくなるのが利点です。次の章で、未達成時の確認手順を扱います。
各過程への数値目標の割り振り方
数値目標は、過去実績の転換率を使って逆算する設計方法がおすすめです。たとえば「フォーム到達から問い合わせまでの転換率が20%」という実績があれば、問い合わせ数30件を達成するにはフォーム到達数150件が必要だと分かります。同様に「回遊からフォーム到達までの転換率」「流入から回遊までの転換率」を過去データから求めていけば、最終的に必要な流入数まで機械的に逆算できます。実績データがない立ち上げ期は、同業他社や業界平均の転換率を仮置きし、データが蓄積した段階で実績値に置き換えていく進め方が現実的です。
KPI未達成時の見直し方
数値が目標に届かないとき、闇雲に施策を増やす前に確認すべき順番があります。
指標が動かないときにまず確認すること
KPIツリーの最上流(流入)から順に確認してください。流入自体が伸びていない場合、その先の回遊率やCVRをいくら改善しても、母数が小さいままでは全体の数値は動きません。逆に流入は十分あるのに獲得期の指標だけが弱い場合は、フォームの導線やコンテンツと成果の接続に問題がある可能性が高くなります。
また、指標そのものが構造的な理由で計測不能になっているケースもあります。技術的な設定ミスでインデックスから除外されていないかは、KPIの数値を疑う前に確認しておきたいポイントです。

自社でここまでの切り分けが難しい場合は、外部のコンサルに相談する選択肢もあります。発注を検討する際の準備資料や費用相場は、別記事にまとめました。

オウンドメディアのKPIに関するよくある質問
- KPIは何個くらい設定するのが適当ですか?
-
フェーズごとに1〜2個、全体で5個前後にとどめることをおすすめします。指標を増やしすぎると、どの数値を重視すべきか判断できなくなります。まずはKGIに直結する指標を優先し、必要に応じて補助的な指標を追加してください。
- KGIとKPIの違いは何ですか?
-
KGIは最終的な目標数値(問い合わせ数や売上など)で、KPIはそこに至る過程を分解した中間指標です。KGIだけでは未達成の原因を特定できないため、KPIに分解して確認します。
- 立ち上げ期からすべてのKPIを追うべきですか?
-
立ち上げ直後は、獲得期の指標(CVRや問い合わせ数)は母数が少なく数値が安定しません。まずは認知期の指標(セッション数や新規流入キーワード数)を中心に確認し、メディアの成熟に応じて検討期・獲得期の指標に重心を移すことをおすすめします。
- KPI設計はコンサルに依頼すべきですか?
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自社で流入・回遊・獲得の切り分けができるようであれば、内製でも設計可能です。切り分けが難しい場合や、技術的な原因の特定に工数がかかる場合は、外部への相談も選択肢になります。判断基準と費用相場は別記事で解説しています。
- KPIの見直し頻度はどのくらいが適切ですか?
-
月次で数値を確認し、四半期ごとに指標そのものの妥当性を見直す運用が一般的です。短期間で指標を変え続けると、施策の効果測定ができなくなるため、最低でも3か月は同じ指標で計測することをおすすめします。
オウンドメディアのKPIで押さえる要点
指標を増やすことよりも、意味のある指標だけに絞ることが重要です。
- KPIはフェーズ(認知期・検討期・獲得期)ごとに設定します。
- 自社142本の実測で、文字数・見出し数とクリック数の相関はほぼゼロでした。
- 公開本数・リライト本数だけでは、記事単位の質的な差を見落とします。
- KPIツリーはKGIから逆算して組み立てるのが基本です。
- 指標未達成時は、最上流(流入)から順に確認します。
掲載した相関係数と対照群比較は、自社メディアの実測データです。1サイト・特定期間の結果であり、他のサイトで同じ傾向が出る保証はありません。ただし「構造を整えれば成果が出る」という定説を鵜呑みにせず、自社のデータで指標の妥当性を確認する姿勢は、どのメディア運営にも応用できます。まずは今追っている指標が、本当にKGIに直結しているかを確認するところから始めてください。







