
Web広告の代理店を探しています。比較記事に25社くらい並んでいて、どこから見ればいいのか分かりません。

全部を見る必要はありません。自社の広告費がいくらかで、現実的に選べる相手はかなり絞られます。まず予算を決めて、その帯に対応している会社だけを見てください。
Web広告代理店の比較記事は、25社や30社を一覧で並べる形が主流です。ただし並べられても、そのうち何社が自社の規模を受けてくれるのかは書かれていません。
実際には広告費の額によって、選択肢が構造的に決まります。この記事では36社の公開料金を調べた結果をもとに、予算の帯ごとに何が選べるのかを実額で整理しました。
- 手数料の下限は月10万円が最多。広告費20万円だと実効50%になります
- 広告費50万円でちょうど20%。ここが料率型が成立する分岐点です
- 料金を公開しているのは36社中22社。大手9社は8社が非公開でした
- 比較記事の並び順は書き手が代理店自身のことが多いため、順位ではなく条件で絞ってください
- 乗り換えを想定するなら、契約前に広告アカウントの名義を確認しておきます

株式会社オークスでは実際のWebコンサルタントである、柏倉元太(@genta_oaks)が記事を監修。
月間数十万PVのメディアを複数運営しながら、現在はSEOからSNS、YouTubeまで様々な分野のマーケティング企業を運営。
Web広告はすでに広告費の過半を占める

インターネット広告費は4兆円を超えた
代理店選びの前に、市場の位置づけを確認しておきます。
電通が2026年3月5日に発表した「2025年 日本の広告費」によると、日本の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)でした。このうちインターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)です。
| 区分 | 金額 | 前年比 |
|---|---|---|
| 総広告費 | 8兆623億円 | 105.1% |
| インターネット広告費 | 4兆459億円 | 110.8% |
| マスコミ四媒体 | 2兆2,980億円 | — |
注目すべきは構成比です。インターネット広告費が総広告費に占める割合は50.2%となり、初めて過半数に達しました。
これは代理店選びにも影響します。市場が伸びている分だけ参入する会社も増え、看板は同じでも中身の差が広がっているためです。並べて比べるだけでは判断できなくなっています。
なお、比較記事の中には数年前の売上ランキングをそのまま載せているものがあります。数字を引用している記事を読むときは、いつ時点のデータかを確認してください。
伸びているのは動画とSNS
同じ調査の詳細分析を見ると、媒体費3兆3,093億円(前年比111.8%)の内訳が分かります。伸び方が均一ではない点が、代理店選びに直結します。
| 区分 | 金額 | 前年比 |
|---|---|---|
| ソーシャル広告 | 1兆3,067億円 | 118.7% |
| ビデオ(動画)広告 | 1兆275億円 | 121.8% |
| 運用型広告(取引手法別) | 2兆9,352億円 | 112.5% |
ビデオ広告は初めて1兆円を超えました。ソーシャル広告と合わせると媒体費の7割前後を占めます。検索連動型広告は構成比38.7%です。
ここから読み取れるのは、リスティング広告だけを見て代理店を選ぶ時代ではありません。動画クリエイティブを作れるか、SNSの運用実績があるかは、数年前より重い判断材料になります。
もう1つ、取引手法別で運用型広告が2兆9,352億円・構成比88.7%を占めている点も重要です。枠を買い切る形ではなく、日々調整し続ける形が主流になっています。代理店に毎月何をしてもらうのかを具体的に確認する必要があるのは、この構造が理由です。
広告費で選べる相手が決まる

下限額が事実上の入口になっている
ここが本題です。36社の公式サイトを1社ずつ確認して料金の記載を集めたところ、手数料の下限額が事実上の入口になっていることが分かりました。
最も多いパターンは「広告費の20%、ただし下限は月10万円」です。この設計を広告費ごとに実額へ直すと次のようになります。
| 月の広告費 | 支払う手数料 | 実効料率 |
|---|---|---|
| 10万円 | 10万円 | 100% |
| 20万円 | 10万円 | 50% |
| 30万円 | 10万円 | 33% |
| 50万円 | 10万円 | 20% |
| 100万円 | 20万円 | 20% |
広告費50万円でちょうど20%に一致します。つまり「手数料20%」という表示は、広告費が50万円を超えてから意味を持つ数字です。
予算の帯ごとに現実的な選択肢を絞る
この構造が分かると、予算別の現実的な選択肢が見えてきます。
- 月20万円未満:料率型は割に合いません。自社運用か、下限の低い会社を探します
- 月20〜50万円:定額型と料率型を実額で比べる帯です。ここが最も判断が要ります
- 月50〜100万円:料率型が標準的に成立する帯です。選択肢がいちばん広くなります
- 月100万円以上:料率の交渉余地が出ます。大手も現実的な選択肢に入ります
下限額は会社によって差があります。調べた範囲では10万円が最も多く、5万円という設定は1社だけでした。少額から始めたい場合は、この下限額を最初に聞いてください。
手数料のほかに何がかかるか
見積書を比べるときは、運用手数料だけを並べても総額になりません。実務で後から出てくる費目は次の4つです。
| 費目 | 扱い | 確認する点 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0円が主流。有料なら3〜10万円 | アカウント開設と初期設計のどちらを指すか |
| クリエイティブ制作 | 別料金の会社が多い | バナー1本・動画1本の単価 |
| LP制作・改修 | ほぼ別料金 | 改修だけを頼めるか |
| 計測・タグ設置 | 初期のみ or 月額 | 誰のアカウントで管理するか |
とくにクリエイティブは、動画広告が伸びている以上ここの単価が総額を左右します。運用手数料が安くても制作費で逆転することがあるため、1ヶ月あたり何本作る想定なのかを含めて見積もりを取ってください。
手数料の内訳と各社の実額は別記事で詳しく扱っています。

料金を公開している会社と非公開の会社

公開22社・非公開12社という内訳
36社を調べて分かったもう1つの傾向が、規模による二極化です。
| 料金体系 | 社数 | 内容 |
|---|---|---|
| 料率型 | 14社 | 広告費に対する割合。20%が最多 |
| 定額型 | 9社 | 広告費の帯ごとに固定額 |
| 非公開 | 12社 | 問い合わせが必要 |
大手9社のうち8社が料金を公開していません。一方で中小・中堅は公開が前提になっています。非公開が悪いわけではなく、個別見積もりを前提にした商習慣の違いです。
ここから導ける実務的な結論があります。検討の初期段階では、公開している会社のほうが比較しやすいという点です。非公開の会社は問い合わせて初めて土俵に上がるため、候補を絞ってから当たるほうが効率的でしょう。
定額型が安いとは限らない
定額型についても補足しておきます。定額だから安いとは限りません。調べた範囲では、実効料率が全レンジで20%を下回る会社がある一方、広告費が増えるほど実効料率が下がる逆進的な料金表もありました。後者は広告費30万円あたりで料率型と逆転します。
比較記事の順位をそのまま信じない

代理店を探すと、おすすめ25社や30社といった比較記事に行き当たります。読むときに1つ知っておいてほしい前提があります。
その記事を書いているのが代理店自身であるケースが少なくありません。そして自社を1位に置いています。これは業界の慣行で、特定の会社が悪質という話ではありません。
実際に上位の比較記事を読み比べると、次のような状態でした。
| 確認した点 | 実際 |
|---|---|
| 各社の手数料 | 25社を並べても「20%が相場」とだけ書き、社ごとの数値は無し |
| データの時点 | 売上ランキングが数年前のまま更新されていない例あり |
| 予算別の絞り込み | 自社の広告費でどこが選べるかの視点は無し |
| 断られるケース | 最低取引額に触れた記事は無し |
したがって比較記事は候補の名前を集めるために使い、絞り込みは自分の条件でやるのが現実的です。順位は参考程度にしてください。
大手と中小のどちらを選ぶか

違いが出るのは料金より担当体制
規模の違いは、料金よりも担当体制に表れます。
| 観点 | 大手 | 中小・専業 |
|---|---|---|
| 料金 | 非公開が大半 | 公開が前提 |
| 対応媒体 | 幅広く網羅 | 得意領域に集中 |
| 担当者 | 分業制で複数名 | 少人数で一貫 |
| 担当の交代 | 組織異動で起きやすい | 起きにくい |
| 少額予算 | 受けにくい | 下限次第で可 |
大手には媒体を横断した知見と、媒体社との関係という強みがあります。一方で分業が進んでいるぶん、窓口と実際に運用する人が別になりやすい構造です。代表は前職で大手広告代理店に在籍していましたが、これは会社の良し悪しではなく規模から来る必然だと考えています。
中小・専業は担当者との距離が近く、判断が早い代わりに、対応できる媒体が限られる場合があります。どちらが優れているかではなく、自社の広告費と媒体構成でどちらが噛み合うかで選んでください。
媒体数と広告費で切り分ける
判断の目安としては、媒体が2つ以内で広告費が月100万円未満なら中小・専業、媒体が3つ以上で月数百万円規模なら大手も候補に入る、という分け方が実務に合います。
あわせて確認したいのが、提案してくる媒体が自社の商材と噛み合っているかです。動画とSNSが伸びている市場環境では、どの代理店も動画を勧めてきます。ただし検討期間が長いBtoB商材で、いきなり動画から入る提案には根拠を聞いてください。
判断の材料は、その代理店が自社と同じ商材で、どの媒体から着手したかの実例を出せるかどうかです。媒体ありきの提案と、商材から逆算した提案は、ここで見分けがつきます。
媒体ごとに確認する点が違う
Web広告とひとくくりにされますが、媒体によって代理店に求める能力が違います。自社が使う媒体を先に決めておくと、面談で聞くことが具体的になります。
検索連動型は運用の細かさで差が出る
リスティング広告は、キーワードの追加と除外、入札の調整、広告文の差し替えといった日々の手数がそのまま成果に効く領域です。構成比は38.7%で、いまも中心的な媒体であり続けています。
確認するのは作業の頻度です。除外キーワードを月に何回見直すのか、広告文を何パターン走らせるのか。月1回のレポートだけで運用と呼んでいる会社は、この質問で分かります。
SNS広告はクリエイティブの本数が要る
ソーシャル広告は1兆3,067億円・前年比118.7%と伸びていますが、検索と違って広告が消耗します。同じ素材を配信し続けると反応が落ちるためです。
そのため聞くべきは運用ではなく制作体制です。月に何本のクリエイティブを作れるのか、制作は手数料に含まれるのか別料金なのか。本数を出せない体制でSNS広告を提案されたら、実行できるのかを確認してください。
動画広告は作れる会社が限られる
ビデオ広告は1兆275億円・前年比121.8%で、初めて1兆円を超えました。ただし伸びている市場だからといって、どの代理店も作れるわけではありません。
動画は撮影・編集・尺の調整が必要で、外部の制作会社に再委託しているケースがあります。自社で作るのか外注するのか、外注ならその分の費用がどこに乗るのかを見積もり段階で確認しておくと、後から追加費用が出てきません。
乗り換えるときに問題になること

契約前に押さえる4項目
選ぶ段階で見落とされがちですが、後から効いてくるのが契約の終わり方です。
最も重要な項目です。代理店名義のアカウントで運用していると、契約終了時に過去の配信データと学習が手元に残りません。自社名義のアカウントに代理店を招待する形なら、乗り換えてもデータが継続します。契約前に必ず確認してください。
バナーや動画を代理店が制作した場合、その素材を契約後も使えるのかという問題です。制作物の著作権と使用範囲を契約書で確認しておくと、乗り換え時に作り直しの費用が発生しません。
コンバージョン計測のタグが代理店のタグマネージャー経由で入っていると、解約と同時に計測が止まります。誰のアカウントで計測を管理しているかを把握しておいてください。
3ヶ月縛りと縛りなしに分かれます。成果が出るまでに一定の期間が要るのは事実ですが、合わないと分かってから動けるまでの時間にも直結します。契約期間と解約予告の必要日数はセットで確認しましょう。
1つ目のアカウント名義は、契約中は表面化しません。問題になるのは辞めるときだけなので、選ぶ段階で聞いておく価値があります。
問い合わせ前に決めておく3つのこと
条件を揃えてから見積もりを取る
候補が絞れたら、各社に同じ条件を伝えて見積もりを取ります。条件がずれた見積もりを並べても比較になりません。
- 月の広告費:この額で選べる相手が決まります
- 成果の定義:問い合わせ数なのか、受注額なのか、資料請求なのか
- クリエイティブの担当:バナーや動画を自社で作るのか、任せるのか
3つ目は見積もりの差が出やすい項目です。運用手数料にクリエイティブ制作が含まれる会社と、別料金の会社があります。バナー1本いくらなのかを聞いておくと、総額で比べられるでしょう。
提案を受けたあとに見るところ
見積もりが出そろったら、金額よりも先に提案の前提が自社の説明と合っているかを見てください。ヒアリングで伝えた商材・単価・成約率が提案書の数字に反映されていない場合、テンプレートを流用している可能性があります。
もう1つは、初月から何をするのかが週単位で書かれているかです。「キーワード選定」「クリエイティブ制作」と項目だけが並ぶ提案は、実際の稼働量が読めません。運用型広告が媒体費の88.7%を占める以上、毎月の手の動かし方が成果を左右します。
オークスは代表が広告運用の実務からこの事業を始めており、少人数で一貫して担当する体制です。もらった見積もりが妥当かを、発注側の立場で確認したい場合はご相談ください。
広告のクリエイティブを自社で用意する場合の入稿規定はこちらにまとめました。

広告以外も含めた外注範囲の決め方は別記事で整理しています。

Web広告代理店の選び方によくある質問
- 広告費が月10万円でも受けてもらえますか?
-
受ける会社はありますが、手数料の下限が月10万円だと支払いが広告費と同額になります。この規模なら、下限の低い会社を探すか、しばらく自社で運用して実績を作ってから相談するほうが合理的です。下限5万円という設定も存在しますが、調べた36社では1社だけでした。
- 大手と中小はどちらが安いですか?
-
公開情報だけで比べると中小のほうが安く見えますが、大手は料金を非公開にしているため単純比較ができません。調べた範囲では大手9社のうち8社が非公開でした。安さで選ぶなら、まず料金を公開している会社の中で実額を比べるのが現実的です。
- 手数料20%は妥当な水準ですか?
-
広告費が月50万円を超えるなら標準的です。それ未満だと下限額が効いてくるため、実際の負担率は20%を大きく超えます。広告費20万円で下限10万円なら実効50%です。表示された料率ではなく、自社の広告費を入れて実額に直してから判断してください。
- 代理店を乗り換えるとデータは引き継げますか?
-
広告アカウントの名義次第です。自社名義なら過去の配信データと機械学習の蓄積がそのまま残ります。代理店名義だと引き継げず、ゼロから積み直しになります。契約前にどちらの名義で開設するのかを必ず確認してください。
- 比較記事のランキングは参考になりますか?
-
候補の名前を集める用途では役に立ちます。ただし書き手が代理店自身で、自社を1位に置いている記事が少なくありません。また各社の手数料が書かれていないものや、数年前のデータのままのものもあります。順位ではなく、自社の広告費と媒体構成という条件で絞り込んでください。
- 媒体ごとに代理店を分けるべきですか?
-
広告費が月100万円を超えて媒体が3つ以上になるまでは、1社にまとめたほうが管理が楽です。分けると媒体間の予算配分を誰も判断しなくなり、全体最適が効かなくなります。ただし動画のように制作能力が要る領域だけを別で頼む形は現実的です。
- 成果保証をうたう代理店はどうですか?
-
何をもって成果とするかを契約書で確認してください。順位や表示回数の保証は、問い合わせが増えなくても達成できてしまいます。保証の対象がコンバージョン数なら、計測の定義と、未達のときに何が返ってくるのかまで詰めてください。
Web広告代理店の選び方まとめ
25社を眺めるより、自社の広告費を先に決めて候補を絞るほうが早く決まります。
- インターネット広告費は4兆459億円で、構成比50.2%と初めて過半数になりました
- 手数料の下限は月10万円が最多。広告費20万円なら実効50%、50万円でちょうど20%です
- 料金を公開しているのは36社中22社で、大手9社は8社が非公開でした
- 定額型が常に安いわけではありません。逆進的な料金表もあります
- 比較記事は候補集めに使い、絞り込みは広告費と媒体構成という自社の条件でやります
- 広告アカウントの名義は契約中は表面化しません。辞めるときに効きます
掲載した料金は2026年8月時点で各社が自社サイトに公開していたものです。改定される場合があるため、発注前には最新の料金表をご確認ください。







