
SEOライティングのコツを調べると型がたくさん出てきます。全部守れば順位は上がりますか。

守っただけでは上がりません。自社の142本を調べたところ、クリック数が85倍違う記事どうしで、文字数も見出しの数もほぼ同じでした。型は必要条件で、順位を決めているのは別の要素です。
SEOライティングの解説記事には「13のポイント」「12の要素」といったチェックリストが並びます。タイトルは30文字、見出しにキーワードを、画像にはalt属性を。どれも間違いではありません。ただ、その型を守った記事が実際に伸びたのかを検証した記事は見当たりません。
この記事では、自社で運営するメディアの142本について、本文の構造と検索流入の関係を実際に集計しました。都合の悪い結果と、その読み方の限界も開示します。
- クリック数の上位1/3と下位1/3で、文字数・見出し数・表・画像の数はほぼ同じでした
- それでもクリック数の中央値は85と1。85倍の差がついています
- クリック数との相関係数は全項目でゼロ近傍。文字数は-0.015でした
- Googleは「Googleが優先する文字数」という設定は存在しないと明記しています
- 正しい読み方は「型は無意味」ではなく「型は必要条件だが十分条件ではない」です
- 差を作っているのは題材に独自の情報があるか。ここは書き方では埋まりません

株式会社オークスでは実際のWebコンサルタントである、柏倉元太(@genta_oaks)が記事を監修。
月間数十万PVのメディアを複数運営しながら、現在はSEOからSNS、YouTubeまで様々な分野のマーケティング企業を運営。
SEOライティングとは?何を最適化する作業か
検証に入る前に、言葉の範囲をそろえておきましょう。
定義と対象範囲
SEOライティングとは、検索から流入を得ることを目的に、記事の構成と文章を組み立てる書き方を指します。対象になるのはタイトル、見出し、本文、画像の説明文、内部リンクです。
記事を書く工程の中では後半に位置します。前段に「どのキーワードを狙うか」「何を題材にするか」があり、SEOライティングはそれが決まったあとの作業になります。後で見るとおり、この順序が結果を大きく左右しました。
検索エンジン向けと読者向けは対立しない
「検索エンジンを意識すると文章が不自然になる」という懸念をよく聞きます。実際には対立しません。見出しで内容が分かる、結論が先にある、表で比較できる。これらは読者にとって読みやすく、同時に検索エンジンにも構造が伝わります。
不自然になるのは、キーワードを不必要に詰め込んだときだけです。Googleは自己評価の質問として「検索エンジンからのアクセスの増加を主な目的として作成されたものですか」を挙げています。読者が読み終わったあとに別のページを探し直す状態なら、型を守っていても評価されません。
よく語られる型の一覧
上位記事に共通して出てくる型を並べます。この記事の後半で、これらが実際に効いたのかを検証します。
- タイトルは30文字前後に収め、キーワードを前方に置く
- 見出しにキーワードと関連語を入れる
- 結論を先に書く(PREP法)
- 一定の文字数を確保する
- 画像と表を入れて読みやすくする
- 内部リンクで関連記事へつなぐ
SEOライティングの型は効くのか142本で検証した

ここからが本題です。手元の運用データで、型と流入の関係を測りました。
検証の方法
自社で運営するコーヒー豆研究所の公開記事160本について、本文をWordPressのAPIで取得し、タグを除いた文字数と各要素の数を数えました。そのうちSearch Consoleで表示が観測できた142本を集計の対象にしています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 公開記事160本のうち、検索で表示があった142本 |
| 測った特徴 | 本文の文字数、h2の数、h3の数、表の数、画像の数 |
| 比較する指標 | Search Consoleのクリック数 |
| 期間 | 2026年7月1日から8月3日までの34日間 |
| 分け方 | クリック数で3分割し、上位1/3と下位1/3を比較 |
上位群と下位群で構造はほぼ同じだった
| 項目 | 上位47本 | 下位47本 |
|---|---|---|
| 文字数 | 12,696 | 11,233 |
| h2の数 | 7 | 7 |
| h3の数 | 14 | 15 |
| 表の数 | 11 | 10 |
| 画像の数 | 29 | 38 |
| クリック数 | 85 | 1 |
いちばん下の行を見てください。クリック数の中央値は85と1で、85倍の差がついています。それなのに上の5行はほとんど変わりません。
むしろh3の数と画像の数は下位群のほうが多いという結果でした。見出しを細かく切り、画像を多く入れた記事のほうがクリックされていないことになります。
相関係数はすべてゼロ近傍

中央値の比較だけでは、たまたま似ただけの可能性が残ります。142本すべてを使って相関係数も出しました。
| 項目 | クリック数との相関係数 |
|---|---|
| 文字数 | -0.015 |
| h2の数 | -0.044 |
| h3の数 | +0.015 |
| 表の数 | -0.012 |
| 画像の数 | -0.110 |
全項目がゼロ近傍でした。文字数を増やしてもクリックは増えず、画像を足しても増えていません。画像に至ってはわずかに負の値です。
この結果はGoogleの説明とも一致します。公式ドキュメントの自己評価の質問に、次の一文があります。
Google が優先する文字数があるとどこかで聞いたか読んだかしたために、特定の文字数になるように記事を書いていますか(そのような設定は存在しません)。
括弧の中で「そのような設定は存在しません」と言い切っています。文字数の目安を掲げる記事は多いものの、Googleの側にそんな基準はないということです。
出典はGoogle「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」です。
文字数帯別に見ても天井は決まらない
文字数だけをもう少し詳しく見ます。帯ごとに分けて、クリック数の中央値と最大値を出しました。
| 文字数帯 | 本数 | クリック中央値 | 最大 |
|---|---|---|---|
| 8千字未満 | 19 | 7 | 279 |
| 8千〜1.5万字 | 72 | 4 | 2,837 |
| 1.5万〜2.5万字 | 32 | 10 | 988 |
| 2.5万字以上 | 19 | 23 | 152 |
中央値だけを見ると、長いほうがわずかに高い。ところが最大値2,837クリックは8千〜1.5万字の帯から出ています。2.5万字以上の帯の最大は152でした。
読み取れるのは、長さが天井を決めていないという事実です。短くても大きく伸びる記事があり、長くても伸びない記事があります。文字数は結果であって原因ではありません。
この検証の限界
都合の悪い点も書いておきましょう。この結果には3つの制約があります。
142本はすべて同じサイトの記事で、同じ執筆基準で作られています。つまりどの記事もある程度は型を守っている状態です。型を守った記事と守っていない記事を比べたわけではありません。ばらつきが小さい集団では相関が出にくくなります。
対象はコーヒー豆研究所のみです。業種やサイト規模が変われば違う結果が出る可能性があります。他社のサイトでそのまま当てはまる保証はありません。
検索数の大きいテーマを扱った記事は、それだけでクリックが増えます。今回の85倍という差にも、テーマの需要差が含まれています。構造の差ではなく題材の差が出たという読み方が自然でしょう。
この3点を踏まえると、正しい結論は「型は無意味」ではなく「型は必要条件だが十分条件ではない」になります。全記事が型を守っている状態でなお85倍の差がつくなら、差を作っているのは型の外側です。
SEOライティングで形式より先に決まるもの
では、型の外側にある差とは何か。3つあります。
同じ型で書いても85倍の差がつく理由
先に構造を整理します。142本はどれも同じテンプレートで、同じ執筆基準に沿って作られました。文字数も見出しの数もほぼ同じです。それでも流入は85倍違いました。
ここから導ける結論は単純です。差を生んだ変数は、測った5項目の中に入っていません。文字数でも見出しの数でも表でも画像でもないなら、残っているのは中身と題材だけになります。
型を並べたチェックリストが役に立たないわけではありません。ただしチェックリストは全項目を満たしても差がつかない設計になっています。満たすほど記事どうしが似てくるためです。似た記事が並んだとき、選ばれる基準は別のところに移ります。
独自の情報があるか
最も大きい差です。Googleは自己評価の質問として次の2つを挙げています。
コンテンツは、独自の情報、レポート、研究または分析の結果を提示しているものですか。
コンテンツが他のソースを参考にしたものである場合は、単なるコピーや書き換えではなく、付加価値とオリジナリティを十分に示すものですか。
上位10記事を読んでまとめ直した記事は、読者にとって11本目の同じ記事です。型を完璧に守っても、この問いに「はい」と答えられません。
独自の情報とは、自社にしかない材料を指します。実測値、失敗した事例、現場の写真、価格交渉の実際、社内で取った集計。外部のライターが取材しても薄くなるものが該当します。この記事でいえば142本の集計結果がそれにあたります。
検索意図と噛み合っているか
2つ目は、読者が知りたいことと記事が答えていることのずれです。
「費用」で検索している読者に対して、費用の話が記事の後半に少しだけ出てくる。この状態だと、どれだけ丁寧に書いても順位は付きません。狙うキーワードで実際に検索し、上位10件の見出しを見れば、何が求められているかは掴めます。
ずれが大きい場合、必要なのは加筆ではなく作り直しです。本文を厚くしても、答えていない問いには答えられません。
直しても動かない記事がある
3つ目は、記事の現在地です。別途おこなったリライトの検証では、6〜10位の記事では悪化率に20.3ポイントの差が出た一方、11〜20位では0.5ポイントしか差がありませんでした。
11〜20位に沈んでいる記事は、情報量ではなく検索意図がずれている可能性が高い。書き方を磨いても動きません。書く前に、その記事が「直せば動く位置」にいるかを確認してください。
リライトの検証結果はこちらにまとめました。

SEOライティングの題材の決め方
形式より先に決まるのが題材なら、そこに時間を使うべきです。手順を3つに分けます。
社内にしかない材料を棚卸しする
最初にやるのは、書ける材料の在庫確認です。次の観点で洗い出してください。
- 社内で取っている数字(受注率、単価、作業時間、不良率)
- うまくいかなかった案件と、その原因
- 現場の写真、作業の動画、実物のサンプル
- 顧客からよく聞かれる質問と、そのときの回答
- 業界では当たり前だが外部には知られていない手順
最後の項目が見落とされます。社内で常識になっていることほど、外から見れば貴重な情報です。担当者に聞くと「そんなの当たり前ですよ」と返ってくる話が、たいてい最も価値があります。
書けない題材は先に外す
検索数が大きくても、自社に材料がないテーマは避けてください。材料がないまま書けば、上位記事の再構成にしかなりません。
判断は単純です。その記事に、自社しか書けない段落を3つ入れられるか。入れられないなら、そのキーワードは今の自社には早い題材です。
需要と事業の近さで並べ替える
残った題材に順番をつけます。軸は2つです。
| 軸 | 見るところ | 優先する条件 |
|---|---|---|
| 需要 | 検索数 | 大きいほど優先 |
| 事業への近さ | 問い合わせにつながるか | 近いほど優先 |
検索数1,000でも受注に結びつかない語より、検索数100でも見積もり依頼が来る語を先に書いてください。PVを増やすことが目的でないなら、この順序が正解になります。
SEOライティングの基本の型
題材が決まったら形式を整えます。必要条件として押さえるという位置づけで扱ってください。守っても順位は保証されませんが、守らなければ読まれません。
タイトル
狙うキーワードを前方に入れ、内容が分かる言葉で締めてください。Googleは自己評価の質問に「メインの見出しやページタイトルは、内容を要約して説明する有用なものですか」を挙げています。逆に「コンテンツを誇張している、または読者に強いショックや不快感を与えるものではありませんか」とも問うています。
文字数は検索結果での表示幅から30文字前後が扱いやすいものの、これは表示の都合であって評価基準ではありません。内容が正確に伝わるほうを優先してください。
見出し
見出しだけを拾い読みして記事全体が把握できる状態を目指します。今回の検証では見出しの数と流入に相関がありませんでした。個数を合わせにいく必要はありません。説明に必要な階層だけ使ってください。
本文の構成
結論を先に置き、理由と具体例を続けます。読者は必要な箇所だけを読むため、各見出しの直下に結論があると離脱しにくくなります。
数字を書くときは根拠を添えてください。「大幅に改善」ではなく「69%から86%へ17ポイント」と書けば、読者が自分で検証できます。
画像・表・内部リンク
今回の検証で最も意外だったのが画像です。相関係数は-0.110で、下位群のほうが画像が多いという結果でした。装飾目的で数を増やしても効かないと読めます。
入れるべきなのは、比較や手順や数値の整理に役立つ図解です。本文で説明しきれない構造を示す画像なら価値があります。表と内部リンクも同じで、読者の理解が進む箇所にだけ置いてください。
記事制作を外注する場合の単価の見方は別記事にまとめました。

SEOライティングで書いたあとにやること
公開して終わりにすると、次の記事の精度が上がりません。
公開後に見る指標
見るのは表示回数とクリック数の2つで足ります。表示回数が伸びていれば検索エンジンには届いており、クリックが伴わないならタイトルの問題という切り分けができます。
判定の時期は公開から2〜3か月後です。Googleは変更の反映に数時間から数か月かかると案内しており、1か月での判断は早すぎます。
出典はGoogle「SEO スターター ガイド」です。
その数字が施策の効果なのか、アップデートや季節の影響なのかを切り分ける手順は別記事にまとめました。

直す記事と放置する記事の切り分け
公開した記事のすべてを直す必要はありません。優先するのは6〜10位に付いている記事です。前述のとおり、この帯は手を入れると動きます。
1〜5位の記事は原則そのままにしてください。触ることで下がるリスクのほうが大きくなります。11位以下は、加筆ではなく題材から見直す対象です。
執筆にかかる時間と原価の考え方はこちらで整理しています。

オークスは自社でメディアを運営しており、この記事の集計もその運用データから作りました。外注記事の品質を発注側の視点で確認したい場合もご相談ください。
SEOライティングに関するよくある質問
- SEO記事の文字数の目安はありますか?
-
Googleは「Googleが優先する文字数」という設定は存在しないと明記しています。自社142本の集計でも、文字数とクリック数の相関係数は-0.015でした。最もクリックが多かった記事は8千〜1.5万字の帯から出ており、2.5万字以上の帯の最大値はその20分の1です。目安に合わせるより、必要な情報を過不足なく入れることを優先してください。
- 見出しは何個くらい必要ですか?
-
個数の基準はありません。今回の集計ではh2の数の相関係数が-0.044、h3が+0.015で、いずれもゼロ近傍でした。上位群と下位群のh2の数はどちらも7個で同じです。説明に必要な階層だけ使い、見出しを読めば記事全体が把握できる状態を目指してください。
- 型を守れば順位は上がりますか?
-
上がりません。自社の142本はすべて同じ執筆基準で型を守っていますが、クリック数の中央値は上位群85、下位群1で85倍の差がつきました。型は必要条件であって十分条件ではありません。差を作っているのは題材に独自の情報があるかどうかです。
- 生成AIで書いてもよいですか?
-
使うこと自体は問題ありません。ただしAIの初稿は既存情報の再構成なので、それだけでは独自の情報が増えません。自社の実測値や事例を人の手で足し、数字と出典を裏取りする工程が要ります。この工程を省くと、型は整っているのに順位が付かない記事ができあがります。
- 画像は多いほどよいですか?
-
今回の集計では逆の結果が出ました。画像数とクリック数の相関係数は-0.110で、上位群の画像中央値29に対して下位群は38と、下位群のほうが多く入っています。装飾目的で数を増やしても効きません。比較や手順や数値の整理に役立つ図解だけを入れてください。
- 外注記事の品質はどう判断すればよいですか?
-
「自社しか書けない段落が3つ以上あるか」で見てください。文字数や見出しの数は納品物のチェックリストになりやすいものの、今回の集計ではいずれも流入と相関がありませんでした。取材した数字、社内の事例、現場の写真が入っていない記事は、型が整っていても上位記事の再構成にとどまります。
SEOライティングで押さえる要点
型を磨く前に、題材を選び直すほうが効きます。
- 142本の集計で、上位群と下位群の文字数・見出し数・表・画像はほぼ同じでした
- それでもクリック数の中央値は85と1。差を作っているのは構造ではありません
- 相関係数は文字数-0.015、画像-0.110。画像は下位群のほうが多く入っています
- Googleは「優先する文字数という設定は存在しない」と明記しています
- ただし全記事が型を守った集団での比較です。型は必要条件として押さえてください
- 着手前に「自社しか書けない段落を3つ入れられるか」を確認すると、題材で外しません
掲載した数値は、コーヒー豆研究所の公開記事160本の本文解析と、Search Consoleのデータを突き合わせて集計したものです。集計できたのは142本で、1サイト・1時点の結果になります。他のサイトで同じ傾向が出る保証はないため、自社で確かめる場合は同じ手順で集計してください。







