
SEOのキーワード選定の記事はどれも「6ステップで解説します」ばかりで、実際どう判断すればいいのか分かりません。

手順自体はシンプルです。自社が実際にB2B記事26本を選定した記録を数えると、狙ったキーワードの90%が検索難易度0でした。判断に迷う部分を、自社の実例と失敗談で解説します。
SEOキーワード選定を調べると「検索ボリューム・競合性・検索意図の3つで選ぶ」という手順が並びます。間違いではありませんが、実際にどの数値をどう判断しているか、候補をどう比較して落としているかまで書いた記事はほとんどありません。
この記事では、自社でこれまでに公開してきたB2B記事26本の選定記録を集計し、実際に狙ったキーワードのデータをそのまま開示します。判断を誤った実例や、候補に挙げたのに見送ったキーワードの理由も含めて紹介します。
- キーワード選定は検索ボリューム・検索難易度・検索意図の3指標で絞り込みます
- 自社26記事の選定記録では、21記事中19記事(90%)が検索難易度0のキーワードを主軸に選定していました
- ドメインレーティングだけで参入可否を判断すると、上位記事の文字数・掲載社数という別の壁を見落とします
- カニバリ判定ツールの機械検出は誤検知が起こるため、GSCの実測データで最終確認してください
- ボリュームが大きいキーワードほど検索意図が割れていないかを確認する必要があります
- 検索ボリューム・難易度は無料ツールでも概算できますが、精度が要る場面は有料ツールを使います

株式会社オークスでは実際のWebコンサルタントである、柏倉元太(@genta_oaks)が記事を監修。
月間数十万PVのメディアを複数運営しながら、現在はSEOからSNS、YouTubeまで様々な分野のマーケティング企業を運営。
SEOキーワード選定とは何か
自社の実例に入る前に、基本の考え方を確認しておきましょう。
検索ボリューム・検索難易度・検索意図の3指標で絞り込む
SEOキーワード選定とは、記事や施策の対象にする検索キーワードを、検索ボリューム(月間検索回数)・検索難易度(上位表示のしやすさ)・検索意図(読者が何を求めているか)の3つの指標で絞り込む作業です。ボリュームだけで選ぶと競合が強すぎて上位表示できず、難易度だけで選ぶとボリュームが小さすぎて成果につながりません。3つを同時に見る必要があります。
検索意図でグルーピングする
同じテーマでも「〜とは」「〜費用」「〜おすすめ」では検索意図が異なります。情報収集層向けの「〜とは」型と、比較検討層向けの「〜費用」「〜選び方」型を混ぜて1つの記事に詰め込むと、どちらの読者にも刺さらない内容になりがちです。主軸のキーワードを1つ決め、検索意図が近い派生キーワードだけを同じ記事にまとめます。
検索意図は4類型で整理できる
検索意図は大きく4つに分類できます。Know(知りたい)・Do(やってみたい)・Go(特定の場所やサービスに行きたい)・Buy(比較検討して発注したい)の4類型です。B2Bのリード獲得を目的にする場合、狙うべきはKnowとBuyの境目にあたるキーワードで、Doに偏ったキーワードは情報収集だけで離脱されやすく、Goに偏ったキーワードは特定の会社名を探している検索のため新規開拓には向きません。
| 類型 | 検索意図の例 | B2Bリード獲得への向き不向き |
|---|---|---|
| Know | 「SEOとは」のような概念理解 | 間口は広いが、そのままでは発注意欲が低い |
| Do | 「SEO やり方」のような自己解決志向 | 内製志向の読者が多く、外注の検討に至りにくい |
| Go | 特定の企業名・サービス名を含む検索 | すでに候補が決まっており新規開拓には向かない |
| Buy | 「〜費用」「〜選び方」のような比較検討 | 発注を前提に情報収集しており、最も相性が良い |
実際、自社が選んでいる主軸キーワードの多くは「費用」「選び方」「相場」を含むBuy型です。Know型の「〜とは」だけを単独で狙うことは少なく、狙う場合も「導入すべきかを迷っている読者」まで読み進めてもらえる構成にして、Buy型の記事へ内部リンクで誘導する設計にしています。
選定したキーワードをどう本文へ落とし込むかは、別記事で自社142本の実測をもとに解説しています。

自社が実際に選んでいるキーワードの傾向

ここからが本題です。自社で公開してきたB2B記事26本のうち、選定記録が残っている21記事のヘッダー情報を集計しました。
21記事中19記事が検索難易度0のキーワードを選んでいた
| 検索難易度 | 該当記事数 |
|---|---|
| 0 | 19記事 |
| 1 | 5記事 |
| 3〜4 | 2記事 |
| 13 | 1記事 |
集計すると、21記事のうち19記事、割合にして90%が検索難易度0のキーワードを主軸に選んでいました。検索ボリュームは200〜2,200件と幅がありますが、難易度は一貫して低いキーワードを優先しています。ボリュームの大きさより、上位表示できる見込みの高さを優先している結果です。
検索ボリュームとCPCの分布
難易度だけでなく、ボリュームとCPC(クリック単価)も集計しました。主軸キーワードの検索ボリュームは200〜2,200件の範囲に収まり、極端に大きい・小さいキーワードは選んでいません。CPCは20円台から400円台まで幅がありますが、200円未満のキーワードが半数以上を占めています。CPCが極端に高いキーワードは、それだけ広告出稿の競合が多く、コンテンツで上位表示しても発注意欲の高い読者層とずれることがあるためです。
検索難易度0を選ぶ理由
検索難易度0のキーワードは、月間検索ボリュームが数百件規模のものが中心です。1件あたりの規模は小さくても、複数の記事で難易度0のキーワードを積み上げれば、合計の流入は着実に増えます。反対に、検索ボリュームが数千件を超える競合性の高いキーワードは、上位表示できなければ流入ゼロのままです。小さくても取れる見込みの高いキーワードを積み上げる方針を取っています。
記事タイプ別に見る難易度の傾向
21記事を「費用・相場系」「選び方系」「実測データ検証系」の3タイプに分けて集計すると、傾向の違いが見えてきます。
| 記事タイプ | 該当記事数 | 難易度の傾向 |
|---|---|---|
| 費用・相場系 | 12記事 | 難易度0〜1が中心。競合が多いテーマだが「費用」を付けると一気に難易度が下がる |
| 選び方系 | 4記事 | 難易度0〜3。比較記事の実名リストと競合するため、やや難易度が上がる傾向 |
| 実測データ検証系 | 5記事 | 難易度0〜1。自社データを軸にした記事のため、そもそも直接競合が少ない |
特に「費用・相場系」は単体の一般名詞では難易度が高くても、「費用」「相場」を付けた瞬間に難易度が大きく下がるという傾向が顕著でした。一般名詞のキーワードは情報サイトや比較サイトが上位を占めますが、「費用」を付けた瞬間に検索意図が発注検討層に絞られ、対応できる競合の数自体が減るためです。
候補キーワードを比較して見送った実例
選ばなかったキーワードの理由も、選定基準を具体的に示す材料です。直近で候補に挙げたものの、見送った2つの実例を紹介します。
ボリュームは大きいが検索意図が割れていたキーワード
「SNS運用代行」というキーワードは月間12,000件と、自社が選ぶキーワードの中では突出したボリュームがありました。しかしSERPを確認すると、上位には「SNS運用代行の副業は稼げるか」といった、代行業務を受注したい個人向けの記事や求人サイトも複数含まれる内容でした。発注検討層と副業希望者の検索意図が同じキーワードに混在している状態で、狙い通りの読者に届く保証がないと判断し、見送りました。
既存記事とテーマが近すぎたキーワード
「GEO対策」も候補に挙がりましたが、既存記事とテーマが近いキーワードです。検索難易度は低く、CPCも悪くない数値でしたが、自社の既存記事にLLMO対策を扱ったものがあり、その記事のFAQで「LLMOとGEO、AIOは何が違うか」という項目にすでに触れていました。同じ検索意図の読者に対して、似た内容の記事を2本用意すると、内部で競合してしまう懸念があったため見送りました。ボリュームや難易度の数値が良くても、自社の既存資産と重なる場合は候補から外すという判断です。
キーワード選定でやりがちな2つの誤判断
指標の数字だけでは避けられない、実際に自社が経験した判断ミスの実例です。
ドメインレーティングだけで参入可否を判断した失敗
過去に「SEO対策 会社」というキーワードで、ドメインレーティング23の記事が8位に入っていることを根拠に、参入できると判断したことがあります。しかし実際に上位記事を読むと、いずれも35,000〜50,000字・48〜50社を実名で紹介する物量型の記事ばかりでした。ドメインレーティングの壁がなくても、文字数と掲載社数という別の壁があるケースです。
この経験から、SERP検証はドメインレーティングだけで終わらせず、上位記事の文字数と掲載社数を実際に開いて数える工程を必須にしました。本記事のキーワード選定でも、上位10記事の構成を実読したうえで着手しています。
カニバリ判定ツールの誤検知をGSCで確認した実例
自社では、新しい記事に着手する前に既存記事とのキーワード重複(カニバリゼーション)を機械的にチェックするツールを使っています。以前、新規記事の執筆時に、既存の別記事2本がキーワードの部分一致でカニバリ候補として検出されました。
そのままでは着手を止めるところでしたが、Search Consoleで該当記事の実際の表示回数とクリック数を確認したところ、どちらの記事も対象キーワード関連での表示・流入がゼロでした。機械的な部分一致検出は、実際の検索結果での競合とは限りません。最終判断はGSCの実測データで行っています。
副キーワードの集め方
主軸キーワードが決まった後は、記事に含める副キーワードを集める工程です。
検索候補・関連キーワードから拾う
主軸キーワードをGoogle検索窓に入力したときのサジェストや、検索結果ページ下部の関連キーワードには、同じ検索意図を持つ派生語が並びます。自社の記事では、主軸1語に対して3〜5語の副キーワードを目安に設定しています。副キーワードが多すぎると、1記事で扱う範囲が広がりすぎて内容が薄まるため、上限を決めておくと構成がぶれません。
表記ゆれも候補に含める
「オウンドメディア」と「オウンド・メディア」のような表記ゆれや、「SEOコンサル」と「SEOコンサルティング」のような省略形も、検索ボリュームが分散していることがあります。副キーワードを集める段階で、主要な表記ゆれもあわせて確認し、本文中で自然に使うことを意識しています。
競合記事の見出し構成を調べる方法

キーワードの数値だけでなく、上位記事の中身を実読する工程も欠かせません。自社で実際に行っている手順を紹介します。
上位10記事の見出しを洗い出して重複項目を数える
まず、対象キーワードで実際に検索し、上位10記事のh2・h3見出しをすべて書き出す作業です。複数の記事で繰り返し登場する見出しは、読者が必ず求めている情報である可能性が高く、逆にどの記事にもない切り口が、差別化ポイントの候補になります。この記事の執筆前にも、上位10記事が軒並み「選定の5〜6ステップ」型で横並びであることを確認し、実務データを開示する記事がゼロだったことを差別化の根拠にしました。
文字数・見出し数を数えて物量の壁を確認する
見出しの重複確認とあわせて、上位記事のおおよその文字数と見出し数も数えます。ドメインレーティングが低い記事が上位に入っていても、文字数や網羅性で物量的に優れている場合、同程度の情報量を用意できなければ参入は難しくなります。この確認を怠って失敗した実例は、後述する「ドメインレーティングだけで参入可否を判断した失敗」で紹介した通りです。
検索ボリューム・難易度の調べ方
専用の有料ツールがなくても、検索ボリュームと難易度の概算は無料で確認可能です。
| 方法 | 分かること | 費用 |
|---|---|---|
| Googleキーワードプランナー | 検索ボリュームのレンジ(広告出稿アカウントが必要な場合あり) | 無料 |
| Google検索の実施 | 上位表示サイトの傾向、関連キーワード | 無料 |
| Search Consoleの検索パフォーマンス | 自社サイトが実際に表示・クリックされているキーワード | 無料 |
| Ahrefs・Semrush等の有料ツール | 正確な検索ボリューム・検索難易度・上位ページの流入試算 | 有料 |
無料の方法だけでも大まかな傾向はつかめますが、複数のキーワード候補を比較して優先順位を決める段階では、有料ツールの数値がないと判断がぶれます。自社では候補の絞り込みは無料ツール、最終決定は有料ツールの数値です。
ここまでの判断を自社の工数だけで継続するのが難しい場合は、選定からコンサルティングまで任せる選択肢もあります。費用相場は別記事にまとめました。

本記事自体のキーワード選定プロセス
最後に、この記事のキーワードをどう決めたかを、実際の記録に沿って紹介します。
「SEOキーワード選定」自体を主KWに選んだ理由
候補として最初に挙がったのは「SEO キーワード選定」(月間800件・難易度4)でした。難易度4は自社の主軸キーワードとしてはやや高めですが、SERP上位10記事の構成を実読したところ、全記事が「選定の5〜6ステップ」を解説する横並びの内容で、実務データを開示した記事が1本もないことを確認しました。難易度の数値だけを見れば見送る水準でも、差別化の余地が明確にあると判断し、主KWとして採用しています。
副キーワードは実務で使う語をそのまま採用した
副キーワードの「キーワード選定 やり方」「検索ボリューム 調べ方」「キーワード選定 ツール」「キーワード難易度」は、いずれも本文で自然に説明することになる語をそのまま採用しました。後から無理にキーワードを詰め込むのではなく、書きたい内容を先に決め、それに対応する検索語を後付けで確認するという順序です。逆の順序にすると、キーワードを詰め込むための不自然な文章が増える原因になります。
キーワード選定に関するよくある質問
- 検索ボリュームと検索難易度、どちらを優先すべきですか?
-
状況によりますが、自社の実績では検索難易度を優先しています。21記事中19記事が検索難易度0のキーワードを主軸に選んでおり、ボリュームが数百件規模でも、複数の記事を積み上げることで合計の流入を確保する方針です。
- ドメインレーティングが低くても上位表示できますか?
-
キーワードによります。ただしドメインレーティングの壁がなくても、上位記事の文字数や掲載社数という別の壁が存在するケースです。自社でも「SEO対策 会社」というキーワードでこの壁を見落とし、参入判断を誤った経験があります。ドメインレーティングだけでなく、上位記事の中身を実際に確認してください。
- キーワードのカニバリゼーションはどう確認しますか?
-
自社では機械的な部分一致検出のツールを使ったうえで、最終的にSearch Consoleの実測データで確認しています。ツールが候補として検出しても、実際の表示・クリックがゼロであれば誤検知と判断できます。機械判定だけで結論を出さないことが重要です。
- ボリュームの大きいキーワードは避けるべきですか?
-
ボリュームが大きいこと自体は問題ではありません。ただし検索意図が複数混在していないかを確認してください。自社でも「SNS運用代行」というボリュームの大きいキーワードを検討しましたが、発注検討層と副業希望者の検索意図が同じ語に混在していたため見送りました。
- 副キーワードはいくつ選べばいいですか?
-
自社の記事では、主軸キーワード1語に対して3〜5語を目安にしています。副キーワードが多すぎると1記事で扱う範囲が広がり、内容が薄まる原因になります。検索意図が近い派生語だけに絞り込んでください。
- キーワード選定に無料ツールだけで十分ですか?
-
候補の絞り込みまでは無料ツールでも進められます。ただし複数の候補を比較して最終的に1つへ絞り込む段階は、正確な検索ボリューム・検索難易度の数値が必要な場面です。意思決定の最終段階では有料ツールの数値を使うことをおすすめします。
- 検索意図の4類型はどう使い分けますか?
-
Know・Do・Go・Buyの4類型のうち、B2Bのリード獲得ではBuy型(比較検討層向け)を主軸にするのが基本です。自社の狙うキーワードも「費用」「選び方」「相場」を含むBuy型が中心で、Know型を扱う場合はBuy型の記事への内部リンクで誘導する構成にしています。
- 上位記事の見出し調査はどのくらい時間をかけていますか?
-
上位10記事の見出し洗い出しと文字数・掲載社数の確認で、1キーワードあたり30分〜1時間ほどです。時間はかかりますが、この工程を省略して失敗した実例があるため、着手前の必須工程として組み込んでいます。
SEOキーワード選定で押さえる要点
指標を機械的に見るだけでなく、実際の数字と過去の判断ミスまで確認する姿勢が、選定の精度を上げます。
- キーワード選定は検索ボリューム・検索難易度・検索意図の3指標で絞り込みます
- 自社26記事の選定記録では、21記事中19記事(90%)が検索難易度0のキーワードを主軸に選定していました
- ドメインレーティングだけで参入可否を判断すると、上位記事の文字数・掲載社数という別の壁を見落とします
- カニバリ判定ツールの機械検出は誤検知が起こるため、GSCの実測データで最終確認してください
- ボリュームが大きいキーワードほど、検索意図が割れていないかを確認してください
- 候補の絞り込みは無料ツール、最終決定は有料ツールの数値で行う使い分けが現実的です
掲載した検索難易度の分布と失敗事例は、自社が26本のB2B記事を制作してきた過程の実測データです。件数はまだ多くなく、他社に同じ傾向が当てはまる保証もありません。ただし、選定の手順を教えるだけの記事が大半を占めるなかで、実際に選んだキーワードのデータと判断ミス、見送った理由まで開示した記事はほとんどありません。自社のキーワード選定も、まず過去の実績を数字で振り返るところから始めてください。







