はじめに
「退職して1ヶ月が経ちました」。そう書いてから、もうすぐ2年になります。あの頃の自分がどれだけ手探りだったか、正直に言うと今でもはっきり覚えています。何も決まっていない毎日の中で、それでも「自分の力でやっていくしかない」という覚悟だけを頼りに、机に向かっていました。
あの記事を書いた時点では、独立というものがどれだけ長く、地味な作業の積み重ねなのか、正直まったく分かっていませんでした。派手な転機があったわけではありません。むしろ、小さな判断ミスと、小さな軌道修正の繰り返しでした。
誰かに「独立してどうですか」と聞かれるたびに、うまく言葉にできない自分がいました。順調です、とは言い切れない。かといって、後悔しているわけでもない。その中間のどこかにある実感を、ずっと持て余していたように思います。
この記事では、数字や実績の話というより、この2年間で何を感じ、何を選び、何を手放してきたのかについて、できるだけ正直に書いてみることにしました。読んでくださる方にとって、少しでも自分の状況と重なる部分があれば、書いた意味があると思っています。

何をやるべきか分からなかった日々
独立した直後の数ヶ月は、正直に言うと「これで合っているのか」という不安がずっと消えませんでした。学生時代から続けているコーヒー豆研究所というメディア、サイバーエージェント時代に培った広告運用やSEOの知見を活かしたコンサルティング。
どちらも自分にとって大切なものでしたが、両方に本気で向き合おうとすればするほど、時間も体力も足りなくなっていきました。朝はコンサルティングのクライアント対応から始まり、夜になるとメディアの記事チェックに追われる。1日の終わりに、どちらの事業にも中途半端にしか向き合えなかった自分を感じて、一人で落ち込んでいた日も一度や二度ではありません。
会社員時代は、迷ったら相談できる上司がいて、判断を分かち合えるチームがいました。独立してからは、その全てが自分一人の肩にのしかかってきます。「この判断で本当にいいのか」を確認する相手がいない夜が、何度もありました。誰かに頼りたくても、頼る相手がまだいない。その孤独感は、想像していた以上に重いものでした。
今だから言えることですが、あの頃の自分は「忙しくしていること」と「前に進んでいること」を、どこかで同じものだと勘違いしていたと思います。
手を動かしている時間が長ければ長いほど、安心できる。けれど実際には、方向を決めきれないまま闇雲に動いているだけの日も多く、振り返ってみると、あの時間の多くは焦りを紛らわせるためのものだったのかもしれません。
絞り込むという決断
転機になったのは、「全部やる」ことをやめようと決めたタイミングでした。手を広げれば広げるほど、どの事業も中途半端になっていく感覚がありました。悔しさもありましたが、自分一人でできることには限りがあると認めるところから、ようやく前に進めるようになった気がします。
正直に言うと、この決断には未練もありました。せっかく始めた取り組みを手放すのは、単純に惜しいという気持ちがあります。それでも、中途半端なものを3つ抱えているより、本気で向き合えるものを絞った方が、結果的に誰かの役に立てるはずだと考え直しました。
やらないことを決める方が、やることを決めるより、ずっと勇気がいる。この2年間で得た実感の中で、これが一番大きなものかもしれません。
そこで残したのが、Webコンサルティング、コーヒー豆研究所というメディア、そしてD2C事業「ラボカフェ」という3つでした。バラバラに走らせるのではなく、この3つが互いに支え合う形にする。そう決めてから、日々の判断がずっとシンプルになりました。
コーヒーだけは、ずっと手放さなかった

コーヒー豆研究所は、私が大学生の頃に始めたメディアです。もう10年近く前になります。当時は、独立してビジネスにするという発想すらなく、ただコーヒーという飲み物そのものに惹かれて、豆の産地や焙煎の違いを調べては記事に書く、それだけの日々でした。あの頃の熱量が、今の自分を形づくる一番の原点になっている気がします。
サイバーエージェントに入社してからも、このメディアだけは手放しませんでした。忙しい業務の合間を縫って、深夜に記事を書いていたこともあります。自分の中で「これだけは仕事にしたい」という感覚だけは、ずっと消えませんでした。
ラボカフェというD2C事業を始めたのも、同じ延長線上にあります。記事を読んでくださる方に、実際に美味しいコーヒーを飲んでほしい。情報を届けるだけでなく、その先の体験まで届けたい。そう思ったのが、きっかけでした。
数字にならない部分の話ですが、この「原点を手放さなかったこと」が、今の3つの事業を貫く一番の軸になっています。
一人でやる、をやめたこと
もう一つ大きく変わったのは、「一人で全部やる」という考え方を手放せたことです。独立した当初は、何でも自分でやろうとしていました。それが独立するということだと、思い込んでいたのだと思います。誰かに任せることは、自分の力不足を認めることのようにも感じていました。今振り返ると、それはただの意地だったのかもしれません。
けれど、事業を絞り込んで考えられるようになったのと同じタイミングで、業務を任せられる外部パートナーの方々と、少しずつ関わるようになりました。最初は、自分のやり方を手放すことに抵抗がありました。それでも、任せてみると、自分では気づけなかった視点や、思いもよらない改善案が返ってくる。
自分一人では見えなかった視点をもらえること、任せることで初めて自分の役割がはっきりすること。そうした感覚を知ったのは、独立してからの2年間で一番大きな学びだったかもしれません。
サイバーエージェント時代に感じていた「チームで成果を出す」という感覚を、規模はまったく違いますが、今また少しずつ取り戻せている気がしています。誰かと一緒に一つのものをつくっている、という実感は、一人で抱え込んでいた頃には得られなかったものです。
変わらなかったもの

一方で、独立してもまったく変わらなかったこともあります。それは、目の前のクライアントが何を求めているかを、できる限り正確に理解しようとする姿勢です。
会社員だった頃は、大きな組織の看板があったからこそ話を聞いてもらえていた部分も、正直あったと思います。独立してからは、自分自身の言葉と結果でしか、信頼を積み重ねられません。
提案の一つひとつ、返信の一通一通が、そのまま自分自身の評価につながっている。そう考えると、正直しんどい瞬間もあります。それでも、この緊張感があるからこそ、手を抜けないのだとも思っています。だからこそ、この姿勢だけは一切ぶれさせないようにしてきました。それが、今の事業すべての土台になっています。
これから目指したいこと
前年より、もう一段上の売上を目指す。それが今期の目標です。数字だけを見ると、ただの事業計画に見えるかもしれません。ただ、自分の中でこの数字が意味しているのは、もっと単純なことです。「この3つの事業に、これからも本気で向き合い続けられるかどうか」という、自分自身への問いのようなものだと思っています。
D2C事業を伸ばすことも、コンサルティングで新しいお客様と出会うことも、結局は同じところに向かっています。関わってくださる方に、独立してよかったと思ってもらえる仕事を、一つずつ積み重ねていくことです。それは、コーヒー豆研究所を読んでくださる読者の方にも、ラボカフェでコーヒーを飲んでくださる方にも、コンサルティングでご一緒しているクライアントの方にも、同じように向けたい思いです。
最後に

2年前、「退職して1ヶ月」という記事を書いたとき、正直まだ何も見えていませんでした。それでも今振り返ると、あの不安だらけの日々があったからこそ、今の3つの事業にたどり着けたのだと思います。遠回りに見えた時間も、無駄ではなかったと、今なら言えます。
これから先も、順調なことばかりではないはずです。それでも、この2年間で学んだ「絞り込むこと」「一人で抱え込まないこと」「変わらない姿勢を持ち続けること」を大切にしながら、次の1年を進んでいきたいと思っています。
もし今、独立や挑戦の途中で迷っている方がこの記事を読んでくださっていたら、一つだけ伝えたいことです。不安がなくならなくても、前には進めます。少なくとも、この2年間の私はそうでした。
もしこの記事を読んで、少しでもオークスや私自身に興味を持っていただけたなら、ぜひお気軽にご連絡ください。
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